奈良屋の日帰り入浴は経時変化が奥深く見える【群馬県草津温泉】

お汲み上げの湯

こんにちは。群馬県草津町在住の公太です(^-^)

草津温泉で内湯巡りをしています。


先日、奈良屋の日帰り入浴(御汲み上の湯)をしてきました。


突然ですが、皆さんは草津温泉で自分好みの温泉と言うのはありますか?

一口に温泉と言っても、大浴場、露天、檜・岩風呂、あわせ湯、源泉の種類、などなど色んな温泉があります。

例えば草津温泉は、酸性で美肌、また湯治として良く知られていますが、その源泉も6つ以上はあるんです。

そうなると中々自分に合ったものを探すのが難しいですよね。


そんな方のために今回は、老舗旅館の温泉を一つ紹介したいと思います。

体験したお湯は美肌・美白・子宝の湯なので、温泉女子や皮膚病の改善をしたい方にはおススメです。

それでは、どうぞご覧ください。


@sanaaaizawaさん(こちらの方、偶然にも同じ苗字w)▼

https://www.instagram.com/p/CED61V8JISu/?utm_source=ig_web_copy_link

女優の「ともさかりえ」さん、もお入りになったそう。撮影でも使われたんですね▼

記事内の情報は全て2020年8月26現在のものです。


奈良屋とは

奈良屋の外観

奈良屋は、草津温泉湯畑から徒歩30秒の所にある、明治十年創業の老舗旅館です。

木造三階建て数寄屋造りのその旅館は、暖かな濃い茶色の木と白を軸にして凛と立ち、入口の庭先には緑鮮やかな松の木と、繊細で真っ赤な紅葉を着込みながら、静かな温泉街に鎮座しています。

またそこには温泉街らしい橙色を放つ柔らかみのある行燈や、熱さを遮る野点傘(のだてがさ)が、ほっとした心持ちになるような形で静かに置かれていました。

数寄屋造り(すきやづくり)とは、日本の建築様式の一つである。数寄屋(茶室)風を取り入れた住宅の様式とされる。

語源の「数寄」(数奇)とは和歌や茶の湯、生け花など風流を好むことであり(数寄者参照)、「数寄屋」は「好みに任せて作った家」といった意味で茶室を意味する。

木造軸組工法の家屋。

Wikipediaより

奈良屋で使われている源泉は、白濁の白が目を惹く白旗源泉。

草津にある6つの源泉の中でもその白濁湯を「御汲み上の湯」と「花の湯」と呼ばれる大浴場に注ぎ込んで使っています。共に露天風呂ありです。

白旗源泉は1193年に源頼朝が発見して使い始めたとも伝えられていて、傷や美肌、美白、子宝に大変良いとも言われています。

またそれは「徳川将軍御汲上の湯」とも称されており、歴史的にも深く折り紙付きです。

※奈良屋のお風呂は男女入れ替え制。

白旗源泉の効能

実際僕も2週間ほど毎日お湯に入っていた所、やはり源泉掛け流し、しかも酸性のためか、体の肌荒れも今ではすっかり治りました。


奈良屋では来客する人を待たす事のないよう「すぐ対応する」、と言う事に気を使っているように見えました。

それは他の旅館とは違い、常に入口に人を一人二人配置し、誰がいつ来ても良いようにしている所から感じ取れました。

一人が対応すればもう一人が、もう一人が対応すれば更にもう一人が、と言うような感じで、中も外も絶えず細やかに応対しているような感じです。

老舗旅館も余裕がある訳ではないし難しいことも色々とあるので、これが当たり前だと僕は思っていません。

だからこそきちきちとした対応が関心できる、言い換えるならば魅力的だなと感じました。

奈良屋の玄関

※住所や地図など、詳しいことは最後の『まとめ』に載せてあります。


奈良屋のお風呂の魅力

お汲み上げの湯

奈良屋の温泉に入って特に強く感じた事、それは浴場内に漂う、深くて長い時間経過でした。

僕は御汲み上げの湯と呼ばれる大浴場に入りましたが、木の板張りで造られた壁や天井には、張り並べられた間の中にも、大小様々な穴のような隙間があります。

その付近を良く見てみると、外にそびえたつ大樹のような肌がはらりと逆さに剥けていたり、ぼろりと剥がれ落ちていたり、ぽっきりと欠け落ちていたりします。


これはただぼろいのではありません、ただ古いのでもありません、切れるように研がれた風流です。

艶っぽい湯気が立つ空間から造られた隙間には、手入れされた清潔感の端に強く古い年月が、外にそびえたつ山の地面の下にある、根の見えない伸びのように長く感じました。

それらは触らずにそこを意図してわざと残しているような、恐れ多くて手を触れれば、明治時代の息遣いが聞こえたように思えます。


華やかに彩られた旅館には、そのくたびれた肌が獣の牙のようにぎらりとやけに際立ち、そこから強い風流を感じた心は、深い緑と茶色の世界に安心を寄せ、眠ったように穏やかな表情になりました。


日帰り入浴の時間と料金

日帰り入浴

12:30~14:00 1200円
※営業時間が短いことを考えてから予定を決めましょう(入浴料も高めなので)

湯めぐり手形による日帰り入浴

12:30~16:00 700円(子供500円)
※手形を使えば入浴時間に余裕ができて安心できます。

湯めぐり手形は限られた老舗旅館の日帰り入浴をする事ができる「専用の温泉身分証みたいな物です。

詳しくは➡「草津温泉でお得に湯めぐりすることはできる?体験を元に条件や方法を詳しく紹介。」をご覧くださいませ。

日帰り入浴の支払い方法は「現金」のみ。クレジットカードとペイペイの使用は不可。

草津温泉の日帰り入浴では主に現金の支払いが主流ですが、ペイペイが使える老舗旅館もたまにあります。


奈良屋の記念スタンプ

余談ですが、僕は手形使用者なので記念スタンプを押してもらいました。


駐車場はある?

奈良屋の駐車場には宿泊客しか車を停められません。

車で奈良屋の日帰り入浴をしに来た場合「草津温泉にある有料、もしくは無料駐車場」から歩いて来る必要があります。


僕としては無料の天狗山第一駐車場(徒歩20分)がおすすめ。

綺麗な自然の景色が広がる西の河原公園を歩いて来れるので、観光がてらには丁度良いと思いますよ。

安い有料パーキングに停めるなら

草津パーキング:草津温泉バスターミナル斜め前(徒歩7分) 100円/30分

アップルパーク:煮川の湯の奥側(徒歩10分) 500円/8~17時(上限ありでお得)

草津温泉周辺の詳しい駐車場情報は「草津温泉へ車で行く人へ。湯畑周辺駐車場まとめ【様子が分かる動画付】」をご覧くださいませ。


日帰り入浴の注意点

奈良屋の日帰り入浴をする際は下記の二点に注意が必要です。

  • 営業曜日と入浴時間
  • 浴場点検日


奈良屋はコロナ現在の今も、以前と変わらずの営業をされていました。

ただ、いつルールが変わるか分からないので、行く前には必ず旅館へ下記の事を問合せてくださいね

  1. そもそも日帰り入浴自体をやっているのか?
  2. やっているならば何時から何時までの営業か?



そしてもう一点、浴場点検日ではないか??

月に一度有るか無いからしいのですが、浴場の点検日にあたると日帰り入浴はできません。

僕は事前に電話確認をしておいたのですが、対応して下さった仲居さんが認識していなかったためか、現地へ行ったら見事に入ることができませんでした(家が近くて良かった)


こういったこともあるので、事前に電話で確認はしておきましょう。

※点検は平日に行うものなので、週末に行く人は気にしないで良いと思います。


点検は状況により二日かかることもあるそうですが、今回は一日で終わりました。


混雑具合

混雑する時間を知っていれば少しでも静かに温泉を堪能できます。

どうせならゆっくりと落ち着いて温泉に入りたいと思うので、僕が入っていた時間を一つ参考にしてもらえればと思います。

僕は休憩含め12:45から2時間近くいましたが「客は僕含め四人」のみ。お陰で穏やかな時間を過ごせました。

滞在時間と客入り具合

2020年8月26日(水) 12:45~14:45 本人含め四人

20~50代(皆さん30分程で入れ替わります)

観光客は夏休み中なのでそれなりに多かったです。


奈良屋 体験談

奈良屋の帳場
奈良屋の受付(帳場)

僕が体験した奈良屋の温泉を鮮明に伝えるため、中の様子をこと細かく書きます。

行く行かないを考える一つの判断材料としてご覧ください(本当に細かいので長文です)


入口~脱衣場

軟らかな橙色が両隣でぼんやりと光る入口をはらりとくぐると、賑やかな往来から、井草香る畳敷きが印象深い静寂な湯宿の世界へ移り変わります。

耳にはゆっくりとした琴の音色も入り込みます。

正面にはぽっと飾られた小さな花が目に優しい受付、左手には囲炉裏や行燈が飾られた風情ある広い待合室、右奥には少し上へ上がった階段が、通路を右に切っているのが見えました。

昨日は点検日で入ることができなかったのを受付の方が覚えていてくれて、お詫びの言葉をかけてくれました。


奈良屋の廊下

湯めぐり手形を使い支払いを済ますと、受付の方が自らお風呂の案内をしてくれました。

井草や木の柔らかみを足裏に感じながら階段を上がると、「奥の突き当たりを右に曲がれば浴場があります」とここまで教えてくれます。

案内終わるのが早かったなと思いましたが、当然と言えば当然でした。

館内は外からの見た目よりもずっと広いのです。

奥まで行って案内していたら大変。十分でございました。


天井まで天然素材が使われた館内なので、頭の上に自然の吐息が吹きかかり安らぎます。

すりすりと歩く度に、足の裏に心地よい井草が、自宅のような落ち着きを感じさせました。

壁には能楽や狂言を表したような能面の絵が、四角い額縁の中でそっと妖しく笑い、おぞましさと風流をぐるぐると混ぜながら、奥へ奥へと飾られ続いているのが見られました。

この絵は奈良屋にゆかりの深い芸術家(能画家)、飯塚正賢氏の作品です。


昔ながらの情緒や恐怖が百花繚乱に表れた廊下を、わくわくと楽しみながら突き当たりまで進んで行くと、突き当りで男湯と女湯に別れます。

左側が「花の湯」、右が「将軍お汲み上げの湯」、と書かれていました。

女湯(花の湯)の方面をちらりと見ると、まだ更に廊下が続き、そこに点々と据えられた小さな行燈が、ほんのりとした橙色で、さらに心をそこへ誘い入れるようでした。

僕は右手に切れてずんずん進み、青に白で「湯」と書かれた暖簾をはらりと頭にかすめて脱衣場へ入りました。

今いる場所は中二階辺りです。


奈良屋の脱衣場

脱衣場は長方形で5m×7mくらいと広く、天井と壁の上の方を白、下の方の壁と床を茶色で色取り造ってあります。

全体的には簡素な作りですが、隅々まで掃除の手が行き届いているので、清潔感が溢れて安心できました。

潜って来た入口側にはロッカー、右手には貴重品ロッカー、左手には大浴場、正面には洗面台、その洗面台の右奥には小さな休憩所があり、そこがまた階段で少し上がっています。

長方形のロッカーは21個あり、およそ35㎝×40㎝×深さ50㎝で使いやすい大きさ。リュックでも簡単に置けます。

洗面台は3個あり、ドライヤー以外の備品は完璧に備えられていました。

櫛や髭剃り、飲み水はあるのにドライヤーがないのが不思議であり、またちょっと残念ですね。

天井高は2.2mくらいなので一般的な高さです。

脱衣場でさっと服を脱ぎ浴場へと向かいます。

まず階段を5段くらい降りると、左手には洗面台が2つ、更にその先には三人ほど掛けられる木製のベンチ椅子がありました。

右手には窓ガラスがあって、外の景色から青い空が見え、そこから陽を通路へと明るく落としています。向こう側にはちらりと露天風呂も見えました。

更に6段ほど階段を下りた所で浴場の入口へと着きます。

脱衣場からは一階分くらい下がっているので、お風呂は地下一階にあるのですね。


浴場

お汲み上げの湯

丸に隅立て四つ目の「目結紋が描かれたガラスの引戸がらりと引いて中に入ると、そこには薄ぼんやりとした大きな大浴場が、しんとした中に広がっていました。

浴場内に入るとまずは、硫黄と檜が混ざり合った香りが、布団を鼻にかけるようなぶ厚さで多い被さります。

香りと言う香りを薪を積むように何枚も何枚も重ねたその香りからは、自然の奥深さを心の底でひしひしと感じられました。


綺麗に張り並べられたタイル石の床があって、真ん中にとても大きな楕円の浴槽が、石造りで持ってどんと丸く据えられています。

床からは天井を支える四角柱が天高く伸びて、上の方で四方の梁と強く手を結んでいます。

壁と天井は柔らかな木で作られていて、ささくれのように逆剥けたり、剥がれ落ちたり、隙間を空けたりしています。


所々天井に空いた隙間からは、外からの光が暗闇をナイフで切り裂いたように小さく入って、床や湯船の上にきらりとした輝きを綺麗に落としていました。

その景色は今自分が草津町にいることを忘れさせ、山に放り出された湯小屋にいるかのような感覚にしました。

浴場内には湯樋から流れ落ちる温泉の音だけが、ぴちゃぴちゃと、か細い響きを穏やかに反響させています。

大浴場の大きさはおよそ7m×12m、かなり広々としていてゆとりを感じられます。

正面には御影石で作られた洗い場が8個。

シャンプーやコンディショナー、ボディソープはもちろんのこと、シェービングフォームや洗顔フォームまで揃えられて抜かりがありません(ボディソープはなんだかすごくいい香りでした。そしてシェービングフォームは床屋の香りで懐かしい)

床は斜線が走った模様を浮かべるタイル石が張り並べて置いてあります。そこからは歩く度に足の裏へ、一方向に流れる、ざらりとした感触が伝わります。

あまりに綺麗で簡素な模様は、床に「近代的」という文字を切り取って張ったような印象で、清潔さも匂わせました。

お汲み上げの湯

浴槽は石造りで、楕円のように長い丸を描いています。

浴槽内にはその丸に沿って、ぐるりと腰をかける段差が設けてあります。

入れる人数はおよそ12人と言った所でしょうか。

簡単に足を投げ出し悠々浸かっていられるほどの大きさがあります。

浴槽内は混じり気のない白がべったりと塗られて、お湯の輝きを湯面にきらりと浮かべました。

お汲み上げの湯

壁はしんなりとした暖かな木の板張りで、下の方は薄い茶、上の方は濃い茶色で纏め上げて、湿った艶の温もりをぐるりと浴場へ走らせています。

上の焦茶色でできた壁は、浴場内の露が長く乗っている影響か、木の肌がえらい剥がれており、時間の重みがにじみ出ていました。

それはまるで大木の木肌を剥がし取って張り付けたものが取れてきているようでした。

ぼろいとか古いとか言ったものではなく、とても洗練されていて、風流を感じさせます。

この景色は僕が大浴場に入った瞬間、青天の霹靂とも言えるような一撃を胸に喰らわせてくれたように思えます。

その長く感じた時間経過は更に天井まで足を伸ばしていました。


天井は洗い場から露天風呂の方へ向かってぐうっと斜めにせり上がっています。

高さは2.2〜7mくらいあって、それが浴場の広さと相まって伽藍堂のようでした。

抜群の開放感ですね。

天井もずっしりとした重い顔色の木の板がずらりと張り並べてあります。

湯気で腐って欠けたのか、熱で膨張したり縮んだりしたのか、所々に隙間が空いて、上からの光がそっと漏れているのが見えます。

深い焦茶色の隙間から見える向こう側には、丸い穴が何個か空いていて、どこまで続いているか分からない高い二階部分もぼんやりと見え、不思議な興味がそこへ差しました。

また天井の手前に張り巡らされて組まれた梁には、箇所箇所に湯の花のような白が朧気に現れているので、温泉気分の膨張を手伝い喜ばせてくれました。


お汲み上げの湯

【温泉について~】

奈良屋で使われている源泉は白旗源泉。

草津温泉で最も歴史が古く、最も良いと言われてきた感慨深いお湯です。

ゆっくり浸かっていられるように奈良屋の湯守が完璧に管理をしてくれていました。

徳川将軍御汲み上げの湯とは、八代将軍徳川吉宗が、温泉を草津から江戸(東京)へ運ばせて使っていたことからそう呼ばれています。当時の草津は真田家が支配しており吉宗は入れなかったそうです。

それが歴史の古い白旗源泉に当たります。


【色】

色は温泉らしさを特に感じられる白濁湯。

浴槽内が真っ白に染まっているために、上から眺めるとその白濁が綺麗に碧がかって見えます。

白濁のお湯の上には、湯船へ流れ落ちた温泉が穏やかな波を立て、そこへ浴場の照明が、橙色の月を美しく落としています。

闇夜の海に浮かだ月のようにゆらゆらと揺れるそれは、見惚れるような景色でとても優しく、心をぐっと掴みました。


【湯温・肌への当たり】

手をそろりと出してお湯を触りました。

湯温はおよそ41℃。ちょうど良いです。

そのお湯にそっと足から体を沈めていきました。

足に触った白濁は、水の上を走る蛇の速度でするすると体を上ってきました。

使った肌の底からは、じわり、じわり、と熱が生まれてくるのが感じられます。


丸ごとどっぷり体を浸けると、腹の周りには、うっすらと酸性のぴりりとした感触がやってきました。

湯温があまりにもちょうど良いために、それに紐付いてやってきたものは心地よさしかありません。

緊張感からするりと逃れ、全てから切り離されたような、ほっとした心持ちになります。

広がる湯舟に足は自然と放り投げられます。


浴槽の中にある段差に座ると、湯面は胸の下でそっと落ち着きました。

超丁度良いくらいの半身浴になったので、疲れも根こそぎ取られるだろうと思いました。

ただし浴槽底までお尻を落とすと、中々深みがあって、湯面が唇の下まで辿り着きました。

深さは63㎝くらい。体はかなり底へと沈みます。

深みがある上にだだっ広いので、そのまま泳いでしまおう!と言う子供のような気持ちが、珍しくふと湧き上がったのが強く記憶に残っています。


浴槽が石造り、更にそれが粗い石の目なので、背中やお尻には強い石肌がざりざりとやってきます。

派手に動けば痛い、そっと動けば心地良い、そんな感覚が体の後ろ側でふと起こりました。

浴槽の壁は緩やかな斜めで下にするりと落ちているので、背中を預けるにはかなり快適です。

べったりと背中を付ければ、顎が自然と天井方向へくいっと向きます。

意識がぼんやりとする、湯気の様な物が頭にかかる頃合いには、伽藍堂の天井がほっとする癒しになります。


【香り】

温泉を両手にたっぷりと救い上げ鼻先に置いてみました。

奈良屋のお湯からはほんのりとした硫黄の香りがします。

咀嚼するように良く嗅げば、少し苦いような、えぐいような、草津温泉らしい硫黄の香りがするりと鼻から頭の奥へ流れたように思えます。

これに強い癖は特になく、漂う香りに自然と鼻を任せられるような優しい硫黄臭でした。


【味】

艶っぽく落ちる湯樋の温泉を指に取って舐めてみました。

味は安定したレモンのような酸味の中にあっさりさを含んでいます。

頬の肉がすぼむような凋落はありません。

後を残さない酸味の姿は、追いかけても煙の如く簡単にばらばらになって消えるほど軽いものでした。


【肌触り】

ちょっと変わってるなと思ったのがお湯の手触り。

白濁に泳ぐ腕の上をもう片方の手で撫でてみると、掌は肌上をさらりとした感触で過ぎます。

つまりさらさらで滑り気が無い訳なんですが、これが指の上で確かめてみるとまた違った感触が掴めました。

指と指の腹で磨り潰すかのように確かめたお湯には、ぬるりとしたものが確かに感じられました。

この軟らかく生暖かい肌のようなぬるっとしたものは、最初は少し弱々しく、詮索して探ることによって濃く強くなるのが分かります。

腕の上と指の上でこうハッキリと違う手触りを味わったのは初めてで、あまり無い、貴重なお湯に巡り合ったような些細な喜びを得られました。


地面より下に下がり、周りから隔絶された静寂とも言える湯の中で、体はじっくりとした亀の歩みで火照りに達しました。

長い時間をかけ、しかも半身浴の状態で温まったお陰か、じっとりした熱で、静かに長く力を緩めることができました。


奈良屋には床にぺたりと座ることが出来る場所が無いので、つるんとした石造りの腰掛け場に体を任せて休みました。

頭から足先まではすっかり毒気が抜かれてくたりとなっています。

頭の中もすっかり空になりました。

意識を失った瞳に映る景色は優しく、ぐにゃりとした丸みを帯びて、見る物の角をすっぽり無くしていたように思えます。


ふと目を上げた先の浴槽には、白く濁ったお湯の上に映ったガラス越の露天風呂が、蜃気楼のようにゆらり伸びているのが見えました。

こちら側からは、朧月みたいにぼんやりとした灯りが、陽炎の如く骨の無いゆらめきで乗っかっています。

御汲み上げの湯では、しっとりと艶っぽくなった心で見るこの景色が随分と綺麗だったように思えます。

対面に鎮座する湯樋は、人肌のような軟らかい波の波紋を生み出し、楕円に沿っていつまでもいつまでも、こちらへとぷんとぷんとした波を押し寄せていました。

お汲み上げの湯


【露天風呂】

お汲み上げの湯 露天風呂

奈良屋には露天風呂もあります。

和風村加盟宿にしては珍しいので嬉しくなりますね。


露天風呂は屋根を四方に吹き下ろした東屋風。

内風呂と同じように屋根を片側へ斜めに下げ落として、繊細な骨組みで持って組まれているのが上方へ望めます。

白肌を着込んだ女性の指先の様ですね。

周りを竹垣で取り囲み、自然の趣がたっぷりと感じられ、柔らかく穏やかな空気がそっと表に撒かれていました。



露天風呂も内風呂と同じく浴槽内まで全て石造り。

2m×3m程の控えめな大きさで、入れる人数は二人。

浴槽縁は竹を半分に割った形の石で縁取り、それがコの字に伸びています。


やんわりとした木の湯樋が90度曲がるように備え付けれられ、上から覗けば、四角に形作られた樋の中を、温泉がつうっと静かに流れる様子が見られました。綺麗です。

余りにもそっと流れる温泉と繊細に作られた湯樋には、凝縮された強い風流を感じられました。


お汲み上げの湯 露天風呂

湯舟の中には白濁のお湯が碧がかった表情でもって綺麗に溜められおり、それが排水口から消え入りそうな音で溢れ出ています。

お湯は内風呂よりは落差激しくじょぼじょぼと注がれているため、耳の先から意識をまるっと奪うように大きく聞こえました。

と言っても内風呂が静か過ぎたせいであり、落ち着いた流れのものです。


お湯の温度は内風呂より1℃ほど高くなってますが、浴槽の深さが喉元で湯面が落ち着くくらいに作ってあるので、どっぷりと首までお湯に浸かることが簡単にできました。

湯舟に入った状態で触れる浴槽の側面からは、掌に心地よい、つるつるとした岩肌が撫でて取られました。

お尻や足の裏にはざらざらとした軽い石の肌触りが心地良く訪れています。


お汲み上げの湯 露天風呂

かまぼこのように出っ張った浴槽縁に頭をくたっと預けたら、恐ろしいほど首の付け根に丁度良く座り込み、楽な姿勢で空を眺めることができました。

穏やかな屋根が切れた先からは、夏の草津の青い空が燦燦と瞳に降り注いでくるので、さらりと朗らかな気分になれました。


お汲み上げの湯 露天風呂

視界の端には竹垣傍に置かれた小さな行灯がぼんやりとした形で橙色に輝き、そこに見惚れる心をすとんと柔らかい場所に置いてくれます。


体が火照って外に出れば、草津の涼しい風が皮膚の上を通り抜けるので、気化熱の作用で持って風の足跡が、手に取るように感じられます。

それが得も言われぬほど心地よく、ゆっくりとした速度で、体温と気温を平行にしていくように思えました。

それを二度三度繰り返すと、体の筋肉はいともたやすく意識を失い、ぐにゃりとした、何も気の張ることのない楽なものへと変えることができました。


【一口メモ】

温泉で体の芯から温まると、体が眠たくなりどこかでゆっくり休みたくなります。

そんな時におススメなのが「温泉の待合場」か「玄関受付横の待合場」です。


温泉の待合場では、しっとり落ち着いた琴の音色がするすると耳に入るのが心地よく、椅子に座った状態で楽に体を休められます。しんとした空気は一切破られません。

玄関受付横の待合場では、温泉街の往来から吹き込んでくる風が、目の前に見える緑と共に目や肌に心地よいです。千紫万紅に乱れる花はとても落ち着いた心持ちにさせてくれます。


内観含む奈良屋の雰囲気(まとめ)▼


奈良屋の宿泊料金(参考程度)

ベッドが置かれていない「泉游亭 もみじ」 奈良屋公式HPより

奈良屋の客室は広々としてゆったり、清潔感があり洋色も混ざってお洒落。

そして廊下まで伸びる畳敷きの暖かさ。

やはり人生一度は泊まりたいと思うほどの憧れお宿です(個人的にはサイフォンコーヒーが飲めるのも魅力)

今現在は「Go To トラベルキャンペーンにより宿泊費が35%割引」、高級宿なので特にその効果が発揮される老舗旅館でもありますね。

そこで、できるだけ宿泊費を抑えれそうなじゃらんで奈良屋の宿泊相場を調べてみました▼


9月13(日)宿泊のもので一泊二食付き。表示価格は税込みです。

お一人様プラン
  • 28,050円
  • Go To適用後 ➡ 18,233円
カップルプラン
  • 48,400円 
  • Go To適用後 ➡ 31,460円 一人あたり15,730円

土曜日も同じ値段の時がありました。

食事は宿泊部屋か個室の食事処なのでコロナ感染対策ができますね。

2020年8月26日調べ

上記は日曜宿泊の検索ではありますが、草津温泉の高級旅館、しかも食事付きにしてはまぁ高くはないのかなと思います...。

基本的に宿が嫌がるお一人様プランがあるのも嬉しい所だと思いました。

じゃらんのGo To トラベルキャンペーンは、予約する際自動で35%割引されるようになっていました。

予約操作が楽ですね。

奈良屋宿泊時の注意点
  • 館内の移動は階段
  • 寝具はベッドが主
  • 全室禁煙
  • 宿泊プランは食事付きのみ(素泊まり無し)


施設情報を含む、奈良屋まとめ

最後に施設情報含めて奈良屋をまとめます▼

奈良屋は
  • 湯畑近くで好立地(バスターミナルからは徒歩約5分で来れる)
  • 日帰り入浴の料金は1200円と高級(手形は700円)
  • 露天風呂付の数少ない和風村加盟宿。しかも大浴場がかなり大きい
  • 適度すぎる湯温が長風呂を助長する


※スマホの人は横にして見ると見やすいです▼

住所 群馬県吾妻郡草津町草津396 (湯畑から徒歩で30秒)
駐車場(日帰り入浴者) 無し(近くの有料パーキング・もしくは無料の天狗山第一駐車場へ)
料金(大人) 1200円/一人(手形使用時は700円)
営業時間 12:30~14:00 ※手形持参者は16時まで
源泉(掛け流し) 白旗源泉
泉質 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉
PH(水素イオン指数) 2.1(酸性)殺菌・ピーリング効果
効能 神経痛/リュウマチ/胃腸/痔/婦人病/子宝/糖尿病/病後回復/ストレス解消/筋肉痛/神経痛/美肌作用/皮膚病
設備 無料ロッカー・貴重品ロッカー・シャンプー・コンディショナー・ボディソープ・洗顔・髭剃り
その他 ・コロナ現在は行く前に要問合せ(営業時間の確認)・明治十年創業(和風村加盟宿)
・大浴場は二つ(男女入れ替え制)
HP 奈良屋
TEL 0279-88-2311

草津温泉バスターミナルからの行き方▼

奈良屋の外観

奈良屋に行ってみて思ったのは、解放感のあるお風呂の入り心地が良いのはもちろんのことですが、綺麗な旅館、綺麗なお風呂がある場所に、昔ながらの趣を直さず、古き良き物をわざと残しているのが心地良いと言うことでした。

あちこちを見ていると、こんなにも真新しく見えるほど手入れされた自然素材があるのに、お風呂の壁はなんでこんなにささくれたように剥がれているのだろう?と一瞬気になります。

しかし、その新旧入り混じった黒と白のような強い濃淡の差が、深い焦茶色で出来た木の暖かな温もりを、より優しくしとやかに表現して、そこに入る人を癒しているんだと思います。

御汲み上げの湯ではゆっくりとした時間の流れが大きく胸にくぎを刺し、激しく見惚れた心を作ってくれました。


以上、奈良屋の日帰り入浴紹介を終わります。

どうもありがとうございましたm(_ _)m

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