こんにちは。群馬県草津町在住の公太です(^-^)
毎日温泉を掛け流す生活をさせてもらっています。
草津温泉は、豊富な湯量で持って色んな日帰り入浴が楽しめ、
酸性のお湯で肌がすべすべになれる温泉としてみんなからも愛されています。
溢れだしたお湯は、昔ながらの趣が残るお宿から、日帰り専用の入浴施設まであちこちに配られ、僕たちは、その豊富なお湯を使うことができるわけなので、行き先は多くなってしまい迷う時があります。
そんな中先日、和風村の湯めぐり手形を使い日新館で日帰り入浴をしてきました。
今日は草津温泉を一つ知るべく、日帰り入浴を行っている日新館のお風呂を紹介したいと思います。
日新館とは

日新館は、湯畑から徒歩30秒の所にある、木造三階建ての老舗旅館。
実はこの日新館、300年以上前の江戸時代より『宿 湯本安兵衛』と言う名で営業してきている古宿で、『草津温泉最古の宿』と言われています。
背後には、草津の深い自然が生み出す葉の緑が立ち、それを着込んだ建物は、
湯畑前すぐ近くという事を、切って忘れさせるような優しい温もりが有ります。
館内には、時を超えてきたような書物や絵画などが当時の気配を現代に差す如く、
はっきりとした輪郭を凛と放ちながら飾られていました。
その日新館の昔ながらの風情や、茶と白の数寄屋造りが織りなす風流を感じていると、
思わず花鳥風月を愛でたいとすら思えるほどです。

日新館の大浴場は『安兵衛の湯』と呼ばれ、湯畑から湯畑源泉を引湯。
露天風呂は男湯にだけありますが、女湯には内風呂が二つあります。
檜で造られた浴場は、頭からどっさりと香る木の温もりと共に、優しさもたっぷりと心に与えてくれました。
【ここから体験談】入口~脱衣場

草津最古の宿にある温泉に胸を躍らせながら、庭先に咲き乱れる楓が綺麗な旅館に、足をすたすたと運びました。
中に入ると、決して着飾ることのない静かな受付と、静かな待合席がこじんま~りと、佇んでいます。
茶の自然素材が上下左右と優しく広がる待合場にはテーブルや椅子、スリッパなどが細々と並び、それが隙間を埋めていたので、
まるで田舎のおばあちゃん家の様な、安心のひしめきを懐かしく感じさせてくれました。
足元のスリッパは、客の足を、まだかまだかと賑やかに待ち望みながら並んでいるようにも見えます。
今日は土曜日、これから訪れる宿泊客の姿が頭にちらっと浮かびました。

どこか遠くの雰囲気を自分勝手に楽しんでいると、きしきし、階段を降りてくる足音が聞こえ、
その音の後から女将さんらしき女性が姿を現しました。
日帰り入浴の支払いを済ませると、女将さんが元気のいい声で「それではご案内致します」と手を引いてくれます。
直ぐ目の前あった右に上る階段に足をかけると、しなやかな反発が、ぎしりとした音と共に足裏へ響きました。
柔らかな段々を二階まで上り、突き当たりを右に切れ、直ぐまた左に見えた段々を十ほど上った所で、浴場の入口が見えました。
どうやら三階部分に浴場があるようです。
ここに来るまでの廊下には、昔の草津温泉を映した写真が白黒の中に温かな影を落として、
奥へ奥へと続く様にたくさん飾られていました。
そのまま浴場の待合まで出ると白一色だった壁は途端に茶に染まり、
茶の中にある檜の香りが、一面に漂っているのが感じられました。
周りの壁には、ぼんやりとした暖かい温泉街の橙色が待合の温もりをより一層強めています。
左に女湯、右に男湯の入口があるのですが、
こじんまりとした待合からは壁の外にある草津の美しい夏が映りました。
くねりと立つ木からは、細い腕が伸び、伸びた指先に鮮やかな緑を細かく付けて、その緑と緑の間からは、数多の朗らかな光線が、待合に燦々と照り付けていました。
自然の息が心の近くに感じられる落ち着いた待合ですね~
女将さんが「それでは、ごゆっくりどうぞ」と丁寧な案内を明るく閉めたので
ではと思い、ガラスを震わせながら引戸の奥へと進みました。
脱衣場に入ると、檜の暖かみは、更に全体に行き渡る様な遠い広がりを見せました。
穏やかな檜の香りはところかしこから、まるで体に染み渡るほどにたっぷりと立ち、
森の中にいるかの如く濃い優しさと、落ち着きを届けてくれました。
窓の外からは明るい陽が入り込み、脱衣場をぱっと照らしています。
脱衣場は正方形で約3.5m×3.5m。
木製ロッカーは、二段の仕切りがない形の物で、籘の籠が8個。
洗面台には、化粧水や髭剃り、ドライヤーが揃えられ入浴するには十分で、
不自由はありません。
隅々まで掃除されているので清潔感があり、終始安心して使えます。
浴場

浴場には溢れんばかりの檜の世界が、ふんだんな香りを掛け合わせながら広がっていました。
下は石畳の床から始まって、壁、天井へと檜が上り、
頭上には共同浴場をはめ込んだ様なガラリ(湯気抜き)がありました。
目は釘を差された様に思わずそこへ留まりました。
ガラリにある格子窓からは、穏やかな光が幾つもの四角の目から取り込まれ、
爛々とした輝きを振り落として浴場を照らしています。
浴場には、脱衣場から続く檜の奥深い香りも地続きに在り、それが優しい光の雨と一緒に鼻先へどっさり落ち、そこに立つ僕を喜ばせてくれました。
しんとした浴場の中では、お湯の落ちる音だけが響いていました。
床は灰色の石タイルを敷き並べていて、そこを擦る足の裏には、軽い滑り気の上に、ざらりとした心地よい石肌の感触。
掃除されたばかりなのか、全体に露を帯びた石タイルは艶っぽい表情をきらりと浮かべていました。
床から60㎝くらいまで(シャンプー台ぐらい)は、目の細かい白のタイルで張り上げ、
そこから上は、天井まで横に並べた、檜の板張りが温もりを伸ばしています。
壁には月のように丸い照明。橙色を薄ぼんやりと放ち、檜の色を更に柔らかな茶に見せた後、
浴場全体の雰囲気をやんわりとした温泉色で染め上げていました。
正面と右側には、約1.8m×1.6mの大きな窓が横長に一つずつ付いていて、
向こう側に立つ樹々の影を、強烈な光の中に、朧気な茶と緑で浮かべています。
天井まで積み重ねられた暖かみは、屋根との接点で隙間を開け、その間からは陽が点々と入っています。
切れ目付近には所々蜘蛛が住んでいましたが、それもまた自然の一興と感じ、そのまま檜造りの趣に飲ますことにしました。
天井は5mくらい。伽藍堂のような開放感があります。
天井は左右から中心に向かって、斜めに伸びた屋根が真ん中で、ガラリ分更に高くせり上がっています。
強い陽を受ける檜は、そこだけ橙色を逃れて、白の木肌を浮かべていました。
その様子を見た時は、共同浴場によく見られる造りだなと即座に感じ、
懐かしさを突かれた心は大変嬉しく思いました。
と言うよりも、それは共同浴場の屋根を取って付けたと言うより他なりませんでした。
ただ浴場の湯気が抜けるガラリは細かい四角が器用に並べてある分凝っており、
共同浴場よりも風流を強く感じさせるし、檜であるが故に豪華絢爛ではあります。
【温泉について~】
日新館では、湯畑から湧き上がる湯畑源泉を引湯しています。
湯畑から徒歩一分足らずと距離が短いので、お湯の劣化がほとんど無い模様。
お風呂は『安兵衛の湯』と呼ばれ、昔から多くの湯浴み人を喜ばせてきたそうです。
浴槽は全て石造りになっており、約3m×3mの正方形。
入れる人数は4人ほど。
浴場の床とバリアフリーになっていませんが、草津最古の宿と考えると、昔ながらの風情を出来るだけ残しているのかな、とも考えられました。
右奥に人型の湯口があり、坊主でずんぐりむっくりした人が手に大きな湯桶を持ち、
そこからふくよかなお湯を、ふくよかな顔でちょろちょろと注ぎ込んでいます。
音の中には、途切れる様などぽどぽと、ぴちゃぴちゃと鳴る二つの音を含んでいます。
その音は恐ろしい程の心地よさでするすると耳に入り、浴場にある唯一の音として記憶に残りました。
湯面からは白い湯気がふわりふわりと浮かび、あくびの速度で、見えない道をゆらゆらと進んでいました。
浴槽の中には、高さ30㎝ほどの石の段々が一つあって、出入りがしやすいようになっており、浴槽縁から湯舟にかけて伸びた手摺が、それを優しく助けています。
【色】
お湯の色は手に救い取るときらきらと輝く無色透明ですが、浴槽内に畳まれた灰掛かるタイルと、底にうっすらと沈殿する湯の花が、見る場所や角度によってそれを濁湯にも魅せました。
浴槽底にある排水溝には、灰の湯の花が吸い寄せられ、特にそこへ多くの濁りを集めていました。
湯口から流れ落ちたお湯は、湯面を驚かせて、その後に穏やかな波を浴槽縁へゆらゆら広げています。
浴場に降り注ぐ陽は、温泉に光の衣を着せ、衣の上に橙色の月を二つ浮かべました。
月は湯面に立つ波によって穏やかに揺れ動き、それを見ているこちら側の心をしんとさせました。
【湯温・肌への当たり】
お湯にそっと手を触れると、41℃ほどの湯温が肌に伝わりました。
ゆっくりと温泉入り、ゆっくりと身体をほぐして行くには丁度良い温度です。
忍び足の如く速度でそろりと入れば、じんわりとした温かいものが浸る体の上に這ってきます。
ほっとするような湯温は、肺の筋肉を緩めて、中にある空気を、口からふうっとした声と共に吐き出させました。
浴槽底までお尻をぺたんと沈めると、肌の上から、ぴりぴりとした温泉の当たり。
刺激は足の甲、脛、腿、胴回り、前腕の裏表で特に感じられ、やんわりとした湯温の割に、草津温泉が持つ酸性をはっきりと掴む事ができました。
身体の底からじわじわとやってくる熱と相まって、ほっとするような安らぎを心持ちました。
心の緩みを感じた足は、自然に浴槽の中を、長くだらんと泳ぎます。
【香り】
湯面へと近づいた鼻先には、硫黄の香りがふわり。
両手にかき集めたお湯を鼻に近づけてみると、えぐみを含んだ硫黄であることが分かりました。
それは配管の奥だったり、井戸の底からやってきたような、遠く、深く、濃いもので、まさに温泉らしい強い硫黄の香りです。
その香りは嗅ぐたびに温泉気分を膨張させて、心を楽しませてくれました。
【味】
浴びるように温泉を顔に掛けると、唇に触れるお湯が、酸味を舌先に届けます。
ぺろりとお湯を舐めると、甘酸っぱい梅干しに似たような酸味が見つかりました。
少し甘味が強めのお湯に、つんとするような刺激は無く、柔らかく落ち着いた酸っぱさでした。
【肌触り】
手触りに関して言えば、肌を人撫ですれば、ぬるりとした滑り気を容易に感じ取れました。
指先や掌で擦り合わせれば良く滑り、腕を一撫でするごとにするりとした薄膜が肌の上にあるのが分かります。
流石と言うべきか、やはりと言うべきか、湯畑源泉らしい柔らかい手触りを感じさせるお湯が、全身に優しく巡っていました。
暖かさが一面に巡る頃には、意識も湯気のように白く遠いものへとなりました。
その状態で浴槽の縁に首を預ければ、伽藍堂の天井にある、細かい格子窓がぼんやりと目に付きます。
その四角の中には、山の斜面から手を伸ばした深い緑が、そよそよと風に揺れているのが見えます。
更に遠い所からは、青の空から朗らかな陽が目に癒しを運んで、胸をそっと落ち着かせてくれました。
体がじっとりと温まった頃合いには、この柔らかい茶の格子、自然の緑、太陽の光りを、朧気に見るのがとても心地よく感じられました。
芯から熱くなった体を引き上げ、浴槽縁にぺたりと座っていた時も、頻繁に視線はこの場所へ集まりました。
鮮やかに揺れる緑は、葉が擦れる音を浮かべそうに映りますが、決して耳にはその音が入ってきません。
閑散を極める如くしんとなった浴場は、雑踏の外れにいるのだとありあり思わせました。
どぽどぽとお湯の落ちる音だけが耳に心地良く聞こえています。有るのは唯一それだけです。
『それ以外の音は死んだんだ』
火照った体を持った後、そう思えて、漸く安兵衛の湯の魅力を腑に落とすことができました。
男湯だけになりますが、日新館には露天風呂があります。
露天風呂は山の座る北側にあり、そこから上に豊かな自然を望む事ができます。
【景色】
斜に構えそびえ立つ木々の中には、落葉高木である楓が目立ち、それが繊細な葉を深緑色に咲かせ、日新館に手を伸ばすかのように枝を生やしています。
頭から降り注いだ陽は、楓の上に覆い被さり、裏にできた影は、見事な濃さの緑を鮮やかに魅せ、下から見え上げる瞳を喜ばせました。
頭のすぐ上程度までは、コンクリート造りの土留めの壁になってはいるものの、辺り一面には、細やかな自然の風もそよそよと吹き流れ、火照った肌が優しく抑えられました。
足元には、昨夜の雨を含んだままの、黒き石がごろりと積み重なって、しとやかな露の風流を、湿り気の中に漂わせています。
【浴槽の造り・大きさ】
露天風呂は1.8m×1mほどの長方形、かなりこじんまりとした大きさなので、入れる人数は一人。
横に並んでも最大二人ですが、この大きさで赤の他人と入るのは難しいかなと思います。
浴槽は全て石造りになっていて、浴槽底まで大小様々な大きさの石が固まって出来上がっています。
多彩な表情を浮かべた石は、触る肌を飽きさせない、無数のでこぼこやざらざらと言った触り心地を肌に味合わせました。
浴槽に注ぐ温泉の湯口は、平べったい石を何枚も積み重ね、固めた石の真ん中から、ちょろちょろと優しい音を立てながらお湯を浴槽へ落としていました。
【湯温】
湯温は43℃ほど、内風呂よりも温度が高く、草津温泉らしい熱さをしっかり感じました。
入ればたちまちに体は芯から熱くなり、ものの数分でじっとりとした熱が体中に回ります。
【色】
お湯の色は無色透明。
天下に造られたものなので、枯葉やイガが落ちていますが、濁りは一切ありません。
陽光が直に落ちる湯面は、きらきらとした輝きを強く放ち、そっと揺れる湯面は、不規則な光の反射を時折目に届けました。
浴槽にどっぷりと浸かり、長手方向に足を伸ばしました。
低い所を走る視線の先には、昨夜の大雨の色を含んだままの黒き土が、湿った面持ちを女湯の方へ伸ばしているのが見えます。
水分の多い黒は、強い土の香りと、頭上から舞い落ちる緑の香りと混ざり合って、鼻に強い自然の気配をばさりと宿らせます。
力ない眼球は、力ない意識で、ぼんやりと静かな安心を黒と緑の中に感じていました。
日新館の内観(お風呂覗く)▼
日帰り入浴の注意点
コロナ現在の日新館は、『湯めぐり手形持参者のみ』が日帰り入浴できます。
このように、いつルールが変わるか分からないので、行く前には必ず旅館へ下記の事を問合せてくださいね▼
- そもそも日帰り入浴自体をやっているのか?
- やっているならば何時から何時の営業か?
施設情報を含む、日新館まとめ
日新館には、有り余るほどの檜の香りと、温泉が流れ落ちる音だけが響く、静かな浴場がありました。
その二つを鼻と耳にするすると入れながら行った湯浴みは、得も言われぬ程の心地よさを温かく運んでくれたと思います。
特に静けさに関しては、恐ろしさすら感じる程で、音と言う音が世の中から消えたみたいでした。
「百聞は一見に如かず。この浴場の静けさほど味わった人にしか分からないだろう」
そう思った温泉でした。
住所 | 群馬県吾妻郡草津町草津温泉368番地 (湯畑から徒歩で20秒) |
駐車場(日帰り入浴者) | 有り |
日帰り料金(現在手形のみ利用可) | 800円/一人(手形使用時は700円) |
営業時間 | 13:00~16:00 |
源泉(掛け流し) | 湯畑源泉 |
泉質 | 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 |
PH(水素イオン指数) | 2.1(酸性)殺菌・ピーリング効果 |
効能 | 慢性皮膚病、動脈硬化症、きりきず、やけど、虚弱児童、慢性婦人病 |
設備 | 無料ロッカー・シャンプー・コンディショナー・ボディソープ・洗顔・髭剃り |
その他 | ・露天風呂あり(男湯のみ) ・コロナ現在は手形持参者のみ入浴可 ・草津最古の宿 |
HP | 日新館 |
TEL | 0279-88-2013 |
湯畑からの行き方(立地)▼


草津最古の宿、静かなお風呂、自然とも距離が近い、昔ながらの趣と穏やかが交差する日新館は、湯畑近くの老舗旅館の中では、一番心の落ち着きが得られそうなお宿です。
今現在は「Go To トラベルキャンペーンにより宿泊費が35%割引」、誰しもが簡単に安く泊まれるタイミングでもありますね。
そこで、できるだけ宿泊費を抑えれそうなじゃらんで宿泊相場を調べてみました▼
※9月12(土)宿泊のものでお一人様プラン。表示価格は税込みです。
- 15,400円
- Go To適用後 ➡ 10,010円
二人の場合 28,600円 Go To適用後 ➡ 18,590円(9,295円/一人)
※食事はお食事処で行います、が5名以上のグループは空き状況により個室を使うこともできるようです。
※2020年9月5日調べ。
上記は土曜日の検索、一人でも二人でも良心的な価格になっているのが日新館の特徴ですね。
和風村加盟宿の中では最安だと思われます。
個人的にはこれならぜひ食事付きで泊まりたいと思いました。
- 館内の移動は階段
- 全室禁煙
- 露天風呂は男湯のみ
※日新館のチェックインは13時、他の旅館より早いのも嬉しいですね。
以上、おしまい。その他草津の周辺情報はこちら▼
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二人の場合 19,800円 Go To適用後 ➡ 12,870円(6,435円/一人)